インプラントのご提案
事前投与とは、ネズミに腫瘍を植えつける2日前に、腹膜腔内に鮫の軟骨を投与することである。
事前投与だと、軟骨にそれだけ効果を発揮する時間を余分に与えられる。
鮫の軟骨のような自然な物質は、濃縮した化学薬品のように速効性のあるものではないので、このやり方は重要だと思う。
なお、だからといって事後投与の抗腫瘍効果が皆無だというのではない。
Y博士のやり方は実験方法も違ううえに、いまでは違うやり方で精製した軟骨製剤を使って実験している。
そしてY博士は、軟骨を与えた5匹のネズミのうち1匹では腫瘍は明らかに小さかったと、私に話した。
他の3匹でも小さいとみてよさそうだが、これは解釈がむずかしいのだと博士は述べている。
われわれは次に、ベルギーで犬を対象に実験した。
この実験でもきわめて劇的な効果が得られた。
しかし、このような信じがたいほどの効果にもかかわらず、私は何度となく欲求不満を味わわねばならなかった。
今日のアメリカ政府の各部局は、製薬のかたちにすることができっこない、だから興味がないと答えるのだった。
彼らは自然な物質とは縁のない連中なのだ。
私が接触した研究者たちは通例、私の側には立ってくれない人々であった。
科学の世界に存在するシステムが、彼らに失敗するようなステップを踏み出すのを恐れさせる。
それをやると、同僚に批判されるからである。
しかし私は、出る杭になるようでなければ進歩はない、という信念で育ってきた。
R博士やF博士とも、軟骨を経口投与しても胃で血管造成抑制要素の蛋白質が変化を受けるので、効果があがらないと考えてきたと思う。
それで2人とも、経口投与は試すことさえなかったに違いない。
しかし、私は一歩進めてみた。
さらに、私の周囲の研究者は経口で試してみた。
するとどうだろう、効果は立派にあがったのだ。
最初、ネズミでやって効果があり、次に人間でやって効果をあげることができた。
それでも、鮫の軟骨を与えたすべてのネズミで、最初の実験のときと同じように炎症反応が起きており、これについては私としてはフェアに、Y博士が次の言葉を語るにとどめておこう。
「この実験はごく試験的なもので、実験の繰り返しや他の追加実験をしてみないことには何もいえない。
鮫の軟骨に抗腫蕩効果が本当にあるかどうかを確かめるには、追加実験をしてその結果を整理してみる必要がある。
人間のガンの治療に鮫の軟骨が使えるかどうかを決めるのは、追加実験を通じてでないとできない」健康食品産業の世界では、これまでただ3つの特許しか認められたことがないといわれている。
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